厚生労働省の調査によると、一般労働者の離職率は令和3年でおよそ14%ですが、会計事務所の離職率はそれよりも高いとされています。
会計事務所には税理士として独立起業を目指す人が多い一方で、事務所内での働き方や人間関係の悩みがある人が多いことも事実です。
この記事では、その理由について探りつつ、退職の判断基準や転職のアドバイスについて解説します。
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会計事務所で人が辞めていく理由
会計事務所は小規模の事業所が多いため、ワンマン経営や閉鎖的な人間関係になりやすい傾向があります。
また、繁忙期には長時間労働が続き、プライベートや自己研鑽の時間が取れないことから退職を考える人も多いです。
事務所内の人間関係
会計事務所で人が辞めていく理由の一つに、事務所内の人間関係の悪さがあります。
会計事務所は小規模でワンマン経営の会社も多く、所長との関係性に悩む人も多いです。
また、若手社員が敬遠されたり、ベテラン社員が新しい制度に対応できなかったりすることもあります。
こうした人間関係の問題はストレスや不満の原因となり、退職につながることもあります。
繁忙期が忙しすぎる
決算などが重なる繁忙期は、深夜まで働かなければならないことも珍しくありません。
業務量が増え、ストレスや健康面の問題が生じることがあります。
また、繁忙期にはチームワークが求められるため、人間関係が悪い場合にはストレスも倍増します。
そのため、繁忙期には退職を考える人が増える傾向があります。
業界の将来性や会社の方針に対する不安
会計業界は、AIや自動化技術の進展により、ルーティン業務が自動化される可能性があり、単調な業務を担当している人はAIに雇用を奪われることが懸念されています。
また、会社の方針が不透明であったり、社員のキャリアアップについて具体的な見通しが示されていない場合、将来に対する不安を抱えることになります。
このまま今の会計事務所で働くことを不安に感じる人が、次々と辞めていくことがあります。
税理士・公認会計士として独立起業する
退職理由はネガティブなものだけではありません。
会計事務所には将来税理士や会計士を目指しながら働いている人が多くいます。
試験に合格し実務経験を積んだ後、独立・開業するために退職する人が多いのも会計事務所の特徴の一つです。
辞めたほうが良い会計事務所の特徴
会計事務所は少人数で仕事を回していることが多く、教育体制が整っていないケースも多々あります。
また、税務に関する責任ある業務は精神的な負担にも繋がります。
サポート体制がないうえにプレッシャーが重いことから退職を考える人も多いです。
仕事を教えてくれない
仕事を教えてくれない上司や先輩がいる場合、スキルアップができず、自己成長に繋がらないことがあります。
また、成果が上がらずに悩んだり、致命的なミスを犯してしまう可能性もあります。
経験者からのアドバイスがなく、自分だけでは改善点を見つけることが難しくなります。
成長を感じられないと、モチベーションが下がる原因にも繋がります。
教育環境が整っていない会計事務所では、将来のキャリアアップに向けて転職を検討することも必要かもしれません。
長時間労働が続く
繁忙期に長時間労働が続く会計事務所は多く、健康被害やストレスが心配されます。
長時間労働は、致命的なミスにつながる原因の一つであり、人間関係が悪化することもあります。
残業代が支払われないような労働環境が悪い会社はもってのほか。
このような会社は転職を検討することも必要かもしれません。
クライアントをバカにする
クライアントをバカにするような言動をする上司や先輩がいると、クライアントからの信頼を失う恐れがあります。
クライアントは自社の経理に関して専門知識を持っていない場合が多く、プロのアドバイスを求めて会計事務所に相談しています。
それなのにクライアントをバカにするような言動は失礼です。
クライアントとの信頼関係を崩しかねません。
顧客が離れていく要因になり、将来的に会社の成長にも悪影響になる可能性もあります。
精神的に追い詰められる
- 上司や先輩からの嫌がらせや脅迫
- 無茶な仕事の押し付け
- 過剰な監視
- クレーム対応の押しつけ
など、パワハラ的な状況が続く会計事務所は、精神的な負担も大きくなります。
ストレスや不安が蓄積されることで、うつ病や不安障害を発症することもあります。
メンタルが壊れてしまう前に、早めに対処することが重要です。
場合によっては法的な相談を受けることも検討しましょう。
退職せずに会計事務所に残ったほうが良い場合
会計事務所では税理士や公認会計士を目指しながら働いている人も多いです。
実務経験を積みながら勉強できる環境は、他の会社にはないメリットです。
ただし、残業が多すぎて試験勉強に時間を割けないケースもあるため注意が必要です。
税理士試験合格など明確な目標がある場合
明確な目標がある場合は、退職するのではなく、職場の理解があることを確認してから残ることも選択肢の一つです。
働きながら税理士試験合格を目指すことは大変ですが、実務経験を積みながら勉強することで、実務と試験対策を両立できるメリットがあります。
ただし、職場の理解がなければストレスや負担が増え、目標達成が困難になる可能性もあるため、注意が必要です。
成長中の会計事務所である場合
会計事務所が急速に成長している場合、将来的に昇進の機会が増える可能性があります。
そのような場合、会計事務所に残っている方が、将来的にキャリアアップができる可能性があります。
良好な人間関係がある場合
所長と相性が悪くても、同僚との良好な関係がある場合は、会計事務所に残ることも検討しましょう。
同僚との信頼関係が築ければ、仕事のストレスを共有し、協力し合うことができます。
そうした固い絆は、業務を円滑に進めるだけでなく、職場での人間関係にも大きく影響を与えます。

モブ美は良い先輩がいたおかげで続けてこれたよ!
顧客が魅力的である場合
魅力的な顧客がいる場合、会計事務所に残ることで自身のキャリアに繋がる貴重な経験を積むことができます。
顧客のビジネス拡大に合わせて、自身も成長・スキルアップできる機会が増え、スキルや評価を向上させることができます。
これは将来的な転職活動でもアピールポイントになります
会計事務所を円満に退職する方法
円満に退職するためにも、できるだけ早めに退職の意志を伝えましょう。
引継ぎの期間も考慮した退職日を伝え、最後まで丁寧に仕事をこなすことが大切です。
退職理由を明確にする
退職を伝えた際に、引き止められて困るケースがあります。
その場合は、相手が納得し、かつ引き止めることができない、明確な退職理由を示すことが重要です。
過剰な引き止めは法令違反になることもあるため、会社の社会的な信用を失うリスクがあります。
そういったリスクを冒してまで脅すような引き止めをすることは、ほとんどありません。
明確な理由を伝えて、円満に退職するよう心掛けましょう



無理やり引き止めて辞めさせないのは違法だよ
退職の意思を早めに上司に伝える
退職時に円満に辞めるためには、事前の準備が重要です。
引き継ぎ期間を考慮した退職日を決め、早めに上司に相談して、希望通りの日に退職できるように調整しましょう。
繁忙期は避け、また、取引先への挨拶なども考慮して、遅くとも1か月前には上司に退職の意向を伝えるようにしましょう。
最後まで仕事を丁寧にこなす
円満に退職するためには、最後まで丁寧に仕事をこなすことが大切です。
残された業務を適切に引き継ぎ、他のスタッフに迷惑をかけないよう配慮しましょう。
丁寧に仕事をこなすことで、後任者や上司からの信頼を得られるだけでなく、今後の人脈形成にもつながります。
社内のマナーや手続きに従って退職する
退職日や引き継ぎの日程などは、会社によって異なります。
退職に関する規則をよく確認し、必要な手続きを踏まえて退職するようにしましょう。
社内のマナーにも配慮し、上司や同僚に事前に退職の意向を伝えることや、お礼状を送ることなども円満な退職につながります。
転職で不利になる人の特徴
自分のキャリアが転職に不利であるため、躊躇している人もいらっしゃるかもしれません。
次の項目に該当しているからといって、必ずしも転職で不利になるとは限りません。
転職エージェント(人材紹介会社)を利用するなどして有利な転職活動が可能です。
転職回数が多い・短期間の勤務歴が多い
転職で不利になる人の特徴のひとつは、短期間で何度も職場を変えた経歴があることです。
採用側からは、またすぐに辞めるのではないかと心配されがちです。
ただし、必ずしも短期間の勤務歴が採用に悪影響を与えるわけではありません。
自己PRや志望動機で、短期間での転職経験について説明し、今後は長期間働きたい旨をアピールすれば、採用の可能性も十分にあります。
職務経歴書や面接で説明がつかない職歴がある
「説明がつかない職歴」として、ブランク期間やフリーランスとしての経験が挙げられます。
このような職歴があると、採用担当者から不安や疑念を持たれることがあります。
しかし、自身がその期間に何を行っていたのか、どのようなスキルを磨いたのか、自信を持って説明することができれば、採用担当者を納得させることができます。
このような職歴があっても、説明次第で不利になることはありません。



モブ美も1年ブランク期間があったとき色々聞かれたなぁ
不利な転職を成功させる方法
不利に思われる転職活動も、履歴書や伝え方を工夫することで成功に近づけることができます。
ハローワークや転職エージェントを活用して履歴書・職務経歴書の添削や面接対策を行うと効果的です。
転職理由を明確にする
転職理由を明確にすることは、不利な転職を成功に導く重要なポイントです。
転職理由が不明確な場合、採用側からは信頼性が低いと判断されてしまう可能性があります。
自分自身がなぜ転職を考えているのかを明確にしておきましょう。
転職を決断した理由を明確にし、自分が求めるものや避けたいものを整理することが大切です。
スキルアップを目指す
転職が不利になる要因の一つに、スキルや経験が不足していることが考えられます。
転職先で求められるスキルや知識を事前に調べ、新たに必要なスキルや知識を身に付けることで評価が高まる効果が期待できます。
ネットワークを広げる
ネットワークを広げることも、転職に効果的な方法のひとつです。
興味のある業界や企業で働いている人と交流することで、新しい情報を得られるだけでなく、視野も広がります。
転職情報を得られるコミュニティやイベントに積極的に参加し、人脈を広げましょう。
前向きな姿勢を持つ
転職活動中に失敗や断られることもあるかもしれませんが、そこで諦めずに前向きに取り組むことが必要です。
自分自身を肯定し、自信を持って挑戦することで、採用担当者にも好印象を与えることができます。
前向きな姿勢を持ち続け、自己研鑽や業界の情報収集を続けることで、不利な状況でも転職成功につながることがあります。



モブ美の転職は30歳・高卒・未経験からのスタートだったよ
職務経歴書や履歴書を工夫する
不利な状況でも職務経歴書や履歴書を工夫することで、自分の強みや達成した実績を転職先にアピールすることができます。
自身の強みや実績を具体的にアピールすることで、採用担当者に自分自身の価値を伝えることができます。
履歴書の書き方に自信がない人は転職エージェントやハローワークを利用することで添削のサポートを受けることができます。
転職は一人で頑張るよりも人を頼ったほうが成功する確率が高くなります。



最初は書き慣れていなくて当たり前だよ
おわりに
会計事務所で働いていると、周りの人がどんどん退職していく光景に遭遇することがあります。
気が付いたら同期で入社した人は自分だけになっていたなんてことも。
確かに今の会計事務所のブラックな環境から抜け出して転職できるのは羨ましい。
でも「転職して今よりも良い仕事に就けるのだろうか」と不安になることもありますよね。
ひょっとしたら、転職先がもっと厳しい職場だったり、またすぐに転職する必要が出てきたりするかもしれません。
こういった悩みは、多くの人が抱えているものです。
モブ美もずーっと悩んで転職できずにいました。
でも、現状を冷静に判断して、次の進む道を決めることが大切です。
不安があっても、決断しなければ何も変わりません。
一緒にベストな選択肢を探していきましょう!
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