厚生労働省の調査によると、一般労働者の離職率は令和3年でおよそ14%。
会計事務所の離職率はそれよりも高いとされています。
会計事務所の離職率の高さは、働き方や人間関係の悩みを抱えている人が多いことが原因です。
この記事では、会計事務所を退職する判断基準や転職のアドバイスについて解説します。
会計事務所で人が辞めていく4つの理由
会計事務所は小規模の事業所が多いため、ワンマン経営や閉鎖的な人間関係になりやすいです。
繁忙期には長時間労働が続き、プライベートや試験勉強の時間がとれないことも。
会計事務所で人が辞めていく理由をくわしく解説します。
①事務所内の人間関係が悪い
会計事務所で人が辞めていく理由の一つに、事務所内の人間関係の悪さがあります。
会計事務所は小規模でワンマン経営の会社も多く、所長との人間関係に悩む人も多いです。
また、若手社員が敬遠されたり、ベテラン社員が新しい制度に対応できなかったりすることもあります。
こうした人間関係の問題はストレスや不満の原因となり、退職につながることもあります。
会計事務所からメーカー経理派遣の現在。長女に、前より忙しそうだけど、顔が死んでないって言われた。前職までは、職場の環境や人間関係、クライアントからの無理な注文、そして薄給。ボロボロだったのに会計事務所勤務という肩書きにだけ、しがみついてた。今思うとバカだったなぁと思える。
— 低調アラフォー (@s1AkIF36FTtDQGF) February 23, 2023
②繁忙期が忙しすぎる
決算などが重なる繁忙期は、深夜まで働かなければならないことも珍しくありません。
業務量が増え、ストレスや健康面の問題が生じることがあります。
また、繁忙期にはチームワークが求められるため、人間関係が悪い場合にはストレスも倍増します。
そのため、繁忙期には退職を考える人が増える傾向があります。
今まで会計事務所は繁忙期の深夜残業休日出勤は当たり前で嫌なら辞めてもいいという事でやってきましたが、昨今の人手不足によりそれはもう無理な時代になってきましたね。
— 吉田貢@京都の若手☺️税理士 (@yoshidamitsugu) February 25, 2022
③業界の将来性や会社の方針に対する不安
会計業界は、AIや自動化技術の進展により業務の一部をAIに奪われることが懸念されています。
また、会社の方針が不透明であったり、昇給や賞与もなく将来に対する不安を抱える人も多いです。
このまま今の会計事務所で働くことに不安に感じる人が次々と辞めていきます。
大学生卒業してすぐに会計事務所に就職する人っているじゃん?まぁ私もだけど、、、
— ちーすけ@あと2、3年で独立する税理士 (@chi_suke_tax) November 4, 2020
とりあえずは、なんでもできる大手税理士法人にいくべきだと思う。
初めてのお仕事だし物事の価値観って人それぞれだから大手の方がいろんなものを見れる。
スキルも営業も人間関係も会社の運営もさ
④税理士・公認会計士として独立起業する
退職理由はネガティブなものだけではありません。
会計事務所には税理士や会計士として独立を目指しながら働いている人が多くいます。
試験に合格し実務経験を積んだ後、独立・開業するために退職する人が多いのも会計事務所の特徴の一つです。
4月から税理士として開業しました。
— Gaku@岐阜の税理士 (@gifu_gaku) April 2, 2023
SNSに顔も名前も出して、一歩間違えたらデジタルタトゥー。
タトゥーと言えば、好きなバンドに憧れて腰にでっかいHOPE(希望)の文字を刻みたい若かりし頃もありました。
希望とは願うものではなく、叶えるもの。
残りの人生より良くなるようにまだまだこれからです🔥 pic.twitter.com/CFCN72gqdf
辞めたほうが良い会計事務所の4つの特徴
会計事務所は少人数で仕事を回していることが多く、教育体制が整っていないケースも多々あります。
また、税務に関する責任ある業務は精神的な負担にも繋がります。
サポート体制がないうえにプレッシャーが重いことから退職を考える人も多いです。
①仕事を教えてくれない
仕事を教えてくれない上司や先輩がいる場合、スキルアップができず、自己成長に繋がりません。
誰も教えてくれないため致命的なミスを犯してしまう可能性もあります。
経験者からのアドバイスがなく、自分だけでは改善点を見つけることが難しくなります。
教育環境が整っていない会計事務所では、将来のキャリアアップに向けて転職を検討することも必要です。
会計事務所とか過去の見てって言われるだけで全然教えてくれないし、今日は所長から遅いと怒られた。
— サボラー勉強垢 (@SCYo3Ip1VnWscaM) September 30, 2020
マジで新卒で入る場所では無かった
②長時間労働が続く
繁忙期に長時間労働が続く会計事務所は多く、健康被害やストレスの原因になります。
長時間労働は集中力がなくなり致命的なミスにも繋がります。
残業代が支払われないような労働環境が悪い会社はもってのほか。
このような会計事務所は転職を検討することも必要です。
会計事務所は
— ロビン (@k_robinman) February 26, 2021
人間関係がよくても、基本労働環境はブラックだからね…
なかなか子育てしながら普通の企業でも厳しいのに
事務所はきついですよね
③精神的に追い詰められる
- 上司や先輩からの嫌がらせや脅迫
- 無茶な仕事の押し付け
- 過剰な監視
- クレーム対応の押しつけ
など、パワハラ的な状況が続く会計事務所は、精神的な負担も大きくなります。
ストレスや不安が蓄積されることで、うつ病や不安障害を発症することもあります。
メンタルが壊れてしまう前に、早めに対処することが重要です。
場合によっては法的な相談を受けることも検討しましょう。
友達が10年いた会計事務所を人間関係がうまくいかなくなって辞め、軽作業のパートに変わった。問題なく続いてたのに、突然怒鳴られるようになったと。今ではその人が恐くて近くにいるだけで手が震えるらしい。
— さくら (@mikan_amechan) November 24, 2018
④クライアントとの人間関係がつらい
会計事務所では、担当するクライアントを自分で選べるわけではありません。
上司から言われるがままに苦手なクライアントも受け持たなければなりません。
クライアントとの相性が悪いとクレーム対応が増えたり精神的に追い詰められることも。
私は会計事務所の仕事は好きなんですが、入所するたびにあてがわれる顧問先と人間関係を築くのが苦手です。自分なら絶対契約しないような顧問先とか問題児の相手をさせられる頻度が高くて😭
— あおい (@aoi16note) October 23, 2020
退職せずに会計事務所に残ったほうが良い場合
会計事務所は実務経験を積みながら勉強できる環境があります。
ただし、残業が多すぎて試験勉強に時間を割けないケースもあるため注意が必要です。
①税理士試験合格など明確な目標がある場合
明確な目標がある場合は、退職するのではなく、職場の理解があることを確認してから残ることも選択肢の一つです。
働きながら税理士試験合格を目指すことは大変ですが、実務経験を積みながら勉強することで、実務と試験対策を両立できるメリットがあります。
ただし職場の理解がなければストレスや負担が増え、目標達成が困難になる可能性もあるため、注意が必要です。
独立したい夢があるから頑張れる。
— おつぽん (@konbanwa774) January 26, 2021
世界一ITに詳しい税理士になって、色々な課題に挑戦したい。
そのための困難は惜しみません。
②成長中の会計事務所である場合
会計事務所が急速に成長している場合、将来的に昇進の機会が増える可能性があります。
そのような場合、会計事務所に残っている方が、将来的にキャリアアップができる可能性があります。
成長している会計事務所には二つのタイプがある。一つはWebサイトを徹底的に活用して主にベンチャー、二代目企業を対象に新規顧問先の開拓を行うタイプだ。もう一つは企業経営や経営者個人の付加価値業務に特化をしてサービスを提供し既存顧問先からの紹介を中心に新規顧問先の開拓を行うタイプだ。
— 森崎利直 (@monchan_dennen_) May 6, 2012
③良好な人間関係がある場合
所長と相性が悪くても、同僚との良好な関係がある場合は、会計事務所に残ることも検討しましょう。
同僚との信頼関係が築ければ、仕事のストレスを共有し、協力し合うことができます。
良好な人間関係は業務を円滑に進めるだけでなく、あなたの心の安定にも大きな影響を与えます。
経理志望で一旦知識つけるために会計事務所へ転職したけど、年収以外の労働環境があまりにも良すぎて本当に困る。人間関係こんなにも平和な職場が世の中に存在しないと思うくらい。恵まれすぎて余計に年収だけを理由に転職するのためらってしまう。正解が分からない
— 運子 (@waraukadoniunko) May 21, 2022
④顧客が魅力的である場合
魅力的な顧客がいる場合、会計事務所に残ることで自身のキャリアに繋がる貴重な経験を積むことができます。
顧客のビジネス拡大に合わせて、自身も成長・スキルアップできる機会が増え、スキルや評価を向上させることができます。
これは将来的な転職活動でもアピールポイントになります
税理士の仕事の良いところは、良い仕事をすれば返ってくること。
— 鈴木 正宏/6ヶ月で財務を武器に/税理士横浜 (@yokohama_try) December 19, 2021
クライアントの事業の成長や、資産形成を手伝うことで、更に活躍の場が広がり報酬アップに繋がります☆
つまりは、クライアントの方にそのように見てもらえる仕事をしないと、と思う今日この頃。
会計事務所から転職できる職種とは?
会計事務所から転職した人はどのような職種に就いているか見ていきましょう。
会計事務所からの転職の選択肢は主に2パターンあります。
- 一般企業の経理に転職する
- 人間関係や待遇の良い会計事務所に転職する
全くの異業種に転職する人もいますが、ほとんどが会計知識を活かせる領域に転職しています。
税理士科目合格でも、一般企業の経理では重宝されるケースが多く、転職して幸福度が上がったという声をよく聞きます。
会計事務所を辞めた人たちの声
私は監査法人や会計事務所は全く肌に合わなかったのですが、企業の経理や経営企画はすごく肌に合ってて、人間関係も楽しいです。
— KOF@公認会計士 (@KnCPA7) January 29, 2021
なので今の環境が合わないと思ってる人がいたら、思い切って環境変えると人生もガラッと変わりますよ。
人生の扉は自ら開けていきましょう!
今日で1ヶ月経ちました。この1ヶ月は四半期決算に巻き込まれて忙しい数日間を送った以外は穏やかです。『分かりません、教えて下さい!』と言えたり、周囲の人が助けてくれたり、会計事務所での人間関係では得られなかった安心感の中にいます。少しずつ成長していこうと思います👍
— あおい (@aoi16note) February 2, 2021
以前務めてた会計事務所の前を通ったら土曜のこんな時間でも普通に電気ついてて確申前で地獄極めてるんだろうな、辞めて良かったな、っておもいました(小並感)
— 🧻kumiko🧻 (@UniRetsu7) March 11, 2017
でもここの職場にはクチャラーは1人もいなかったんだよね…あの頃は良かったよね…
学生から最初に就職したのが監査法人だった方は理解できないかもしれませんが、前職とりわけ(街の)会計事務所の勤務経験者からすると、いかに監査法人がホワイトな職場である(職務の割に給与水準が良い)かが実感できます。
— 国税審判官経験者の税理士&公認会計士 (@taxtrustyboard) July 31, 2021
スタッフに対する組織的管理体制なんてゼロに等しかったですもの・・・。
超氷河期に入社した前職は会計事務所。外が明るいうちに帰れたのは年に3回。
— ななこ🍀 (@nekoneko_nanako) April 25, 2020
退社は早くて20時、通常22時。
繁忙期に睡眠時間3時間が1ヶ月続いた時、頭がおかしくなるかと思った。
その後転職した今の会社。
定時で帰れる!残業手当がある!有休がある!
私は絶対ここで頑張る!
それが今の私です🌸
会計事務所を円満に退職する方法
円満に退職するためにも、できるだけ早めに退職の意志を伝えましょう。
引継ぎの期間も考慮した退職日を伝え、最後まで丁寧に仕事をこなすことが大切です。
どうしても退職させてもらえない状況のときは、退職代行を使う選択肢があることを知っておいてください。
退職理由を明確にする
退職を伝えた際に、引き止められて困るケースがあります。
その場合は、相手が納得し、かつ引き止めることができない、明確な退職理由を示すことが重要です。
過剰な引き止めは法令違反になることもあるため、会社の社会的な信用を失うリスクがあります。
そういったリスクを冒してまで脅すような引き止めをすることは、ほとんどありません。
明確な理由を伝えて、円満に退職するよう心掛けましょう
無理やり引き止めて辞めさせないのは違法だよ
退職の意思を早めに上司に伝える
退職時に円満に辞めるためには、事前の準備が重要です。
引き継ぎ期間を考慮した退職日を決め、早めに上司に相談して、希望通りの日に退職できるように調整しましょう。
繁忙期は避け、また、取引先への挨拶なども考慮して、遅くとも1か月前には上司に退職の意向を伝えるようにしましょう。
最後まで仕事を丁寧にこなす
円満に退職するためには、最後まで丁寧に仕事をこなすことが大切です。
残された業務を適切に引き継ぎ、他のスタッフに迷惑をかけないよう配慮しましょう。
丁寧に仕事をこなすことで、後任者や上司からの信頼を得られるだけでなく、今後の人脈形成にもつながります。
社内のマナーや手続きに従って退職する
退職日や引き継ぎの日程などは、会社によって異なります。
退職に関する規則をよく確認し、必要な手続きを踏まえて退職するようにしましょう。
社内のマナーにも配慮し、上司や同僚に事前に退職の意向を伝えることや、お礼状を送ることなども円満な退職につながります。
転職で不利になる人の特徴
自分のキャリアが転職に不利であるため、躊躇している人もいらっしゃるかもしれません。
次の項目に該当しているからといって、必ずしも転職で不利になるとは限りません。
転職エージェント(人材紹介会社)を利用するなどして有利な転職活動が可能です。
転職回数が多い・短期間の勤務歴が多い
転職で不利になる人の特徴のひとつは、短期間で何度も職場を変えた経歴があることです。
採用側からは、またすぐに辞めるのではないかと心配されがちです。
ただし、必ずしも短期間の勤務歴が採用に悪影響を与えるわけではありません。
自己PRや志望動機で、短期間での転職経験について説明し、今後は長期間働きたい旨をアピールすれば、採用の可能性も十分にあります。
職務経歴書や面接で説明がつかない職歴がある
「説明がつかない職歴」として、ブランク期間やフリーランスとしての経験が挙げられます。
このような職歴があると、採用担当者から不安や疑念を持たれることがあります。
しかし、自身がその期間に何を行っていたのか、どのようなスキルを磨いたのか、自信を持って説明することができれば、採用担当者を納得させることができます。
このような職歴があっても、説明次第で不利になることはありません。
1年間のブランクがあったとき色々聞かれたよ
不利な転職を成功させる方法
不利に思われる転職活動も、履歴書や伝え方を工夫することで成功に近づけることができます。
ハローワークや転職エージェントを活用して履歴書・職務経歴書の添削や面接対策を行うと効果的です。
転職理由を明確にする
転職理由を明確にすることは、不利な転職を成功に導く重要なポイントです。
転職理由が不明確な場合、採用側からは信頼性が低いと判断されてしまう可能性があります。
自分自身がなぜ転職を考えているのかを明確にしておきましょう。
転職を決断した理由を明確にし、自分が求めるものや避けたいものを整理することが大切です。
スキルアップを目指す
転職が不利になる要因の一つに、スキルや経験が不足していることが考えられます。
転職先で求められるスキルや知識を事前に調べ、新たなスキルを身につけましょう。
人脈を広げる
人脈を広げることも、転職に効果的な方法のひとつです。
興味のある業界や企業で働いている人と交流することで視野も広がります。
知り合いを増やすことでリファラル採用のチャンスが巡ってくる可能性もあります。
転職情報を得られるコミュニティやイベントに積極的に参加して人脈を広げましょう。
職務経歴書や履歴書の添削を受ける
不利な状況でも職務経歴書や履歴書を工夫することで、自分の強みや達成した実績を転職先にアピールすることができます。
自身の強みや実績を具体的にアピールすることで、採用担当者に自分自身の価値を伝えることができます。
履歴書の書き方に自信がない人は、経理の職務経歴書の作成・添削サービスがおすすめです。
転職は一人で頑張るよりも人を頼ったほうが成功する確率が高くなりますよ。
- 何を書いたらいいかわからない
- 経験や実績が浅くて書けることがない
- 書類選考でいつも落とされる
経理の職務経歴書マジで書けない……
このような悩みがある人には、、ゼロから職務経歴書の作成を代行してくれるサービスがあります。
しっかりした職務経歴書があると転職に自信が持てるようになります。
職務経歴書の作成に時間を取られて困っているのなら、まずは作成代行サービスを使ってみると良いですよ。
会計事務所の転職に強い転職エージェント3選
すでに会計業界の実務経験があるあなたなら、転職成功の鍵は転職エージェント選びにあるといえます。
リクルートなど大手転職エージェントでは経理・会計の求人はほぼ見つかりません。
会計事務所の転職活動で一番大切なのは、
- 税理士・会計業界の転職事情を知っている担当者がいるかどうか
採用側のニーズと私たちのスキルがマッチするか正確に判断できる担当者がいないと、
あなたを正しく評価できず、希望年収より低い仕事を紹介されるリスクもあります。
会計事務所の転職で後悔しないためにも、業界に詳しい転職エージェントへの登録は必須です。
以下では税理士・会計業界の転職に特化した転職エージェントを3つ紹介します。
良い求人情報を逃さないためにも、3社登録しておくことをおすすめします。
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リモートワーク可能な求人が多いのも特徴の一つ。
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おわりに
会計事務所で働いていると、周りの人がどんどん退職していく光景に遭遇することがあります。
気が付いたら同期で入社した人は自分だけになっていたなんてことも。
確かに今の会計事務所のブラックな環境から抜け出して転職できるのは羨ましい。
でも「転職して今よりも良い仕事に就けるのだろうか」と不安になることもありますよね。
ひょっとしたら、転職先がもっと厳しい職場だったり、またすぐに転職する必要が出てきたりするかもしれません。
こういった悩みは、多くの人が抱えているものです。
私もずーっと悩んで転職できずにいました。
でも、現状を冷静に判断して、次の進む道を決めることが大切です。
不安があっても、決断しなければ何も変わりません。
一緒にベストな選択肢を探していきましょう!
気軽にどうぞ♪