未経験からの経理転職で日商簿記1級が有利になるといわれることがあります。

わたしも簿記1級を目指したほうがいいのかな
と思っている人はちょっと待った!
日商簿記1級は合格率10%の難関資格です。
高い簿記の知識をアピールできる希少価値の高い資格であることは間違いありません。
ただし、日商簿記1級は、経理の転職において必ずしも有利になるとは限りません。
未経験から経理を目指す人にとって最も重要なことは、転職活動を最優先にすることです。
この記事では日商簿記1級取ったほうが良い人とそうでない人の違いを解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
【注意点】未経験者は経理として働き始めるのが最優先
もしあなたが簿記2級まで持っているのなら、転職活動を最優先することをおすすめします。
- 実務は簿記2級レベルで十分
- 簿記1級は取得に時間がかかる
- 未経験の転職は年齢が若ければ若いほど有利
- 応募要件を簿記2級以上としている会社が多い
- 簿記1級は経理に転職してからでも遅くない
- 経理未経験者が簿記1級レベルの仕事を任される機会は少ない
経理は、経験者が優遇される業界です。
簿記1級の資格取得に時間を費やすよりも、ますは経理に転職して実務経験を積むことが大切です。
資格取得に時間を取られすぎないよう注意が必要です。
日商簿記1級が応募の必須条件でないのであれば、転職活動を優先しましょう。
簿記1級が経理の転職で有利になる理由
簿記1級は合格率の低い難関資格です。
簿記2級と比べると、経理未経験で簿記1級を持っている人は稀です。
簿記1級を持っていると、それだけで採用担当者から注目される可能性が高いです。
簿記1級は資格取得に多大な努力が必要です。
その熱意や努力は、経理に対する熱意をアピールする上でも有利になります。
高度な簿記の知識を持っていることを証明できる
簿記1級では、企業会計原則や会計基準など高度な専門知識が必要です。
そのため、簿記1級を持っていることで、採用担当者に一定レベル以上の簿記の知識があるとアピールできます。
経理未経験者であっても、採用後の教育コストを減らせるというポジティブな印象を与えることができます。
経理の素養があることを証明できる
簿記1級に合格するには、経理の素養が必要です。
会計に関する知識はもちろん、勉強方法や時間管理も同様に重要です。
自己管理ができないと、そう簡単に合格できる資格ではありません。
そのため、簿記1級の合格は自己管理能力やマネジメント力を証明する資格とも言えます。
このような資格を持つ人材は、経理の実務経験が浅くても、幹部候補として採用される可能性が高くなります。
経理に対する意欲をアピールできる
簿記1級を持っていることは、経理に対する熱意と意欲のアピールになります。
経理の仕事に興味を持ち、情熱を持って学び続ける人材でなければ、簿記1級のような難関資格に合格できません。
経理の仕事で長く働きたいと考えている人材として、採用担当者に高く評価されます。
簿記1級の取得は、経理の仕事に真剣に取り組み、自己成長できる人という証になります。
簿記1級を取ったほうが良い人
一般的に、経理の実務には簿記2級レベルで十分とされていますが、
希望する企業によっては応募要件を簿記1級以上としている場合があります。
例えば、大企業や会計事務所を目指す場合は、簿記1級を取得してから転職活動したほうが有利になります。
大企業への転職を考えている
簿記1級が経理の転職で有利になる点の一つに連結決算があります。
大企業では、複数の子会社や関連会社を抱えているため、会社全体の決算書を作成するために、子会社や関連会社の財務諸表を連結する必要があります。
簿記1級を持つ人材は、複数の会社の財務諸表を分析し、統合するスキルを持っているため、採用側から有利に評価されることがあります。
税理士法人への転職を考えている
税理士法人の中には、簿記1級を応募の必須要件として設定しているところもあります。
簿記一級は税理士法人で働く上で有用な資格ですが、一方で税理士資格のほうが重要視される場合もあります。
税理士法人での就職を考える場合は、簿記一級と税理士資格のどちらが重要かを検討する必要があります。
経理未経験者が簿記1級を持っていても有利にならない理由
経理業界では、資格よりも実務経験者が優遇されます。
そのため、簿記1級を持っていても転職に有利に働かない場合があります。
すでに簿記2級を持っている場合は、一日でも早く実務経験を積める機会を探すことをおすすめします。
簿記1級の取得は転職してからでも遅くありません。
経理は資格より経験者が優遇される
経理は難関資格を持っていることよりも実務経験者が優遇されます。
簿記や税務の知識を持っていることは大切な要素ですが、知識だけでは十分ではありません。
簿記の試験内容に出てこなかったようなさまざまな実務に対応しなければなりません。
実務経験がない経理未経験者は正しい判断ができないため採用側から不安視される傾向があります。
簿記1級を持っている人よりも実務経験のある簿記3級保有者が採用されることもあるくらいです。
簿記1級はオーバースペックになる場合がある
簿記1級は非常に難易度が高く、試験勉強には多大な時間と労力が必要です。
しかし、実務においては簿記一級の知識やスキルが必要な場面が限られています。
経理実務では主に以下のスキルが求められます。
- 会計ソフトの操作やデータ入力
- 仕訳帳や財務諸表の作成
- 売掛金・買掛金の管理
- 給与計算や源泉徴収税の計算
- 取引先とのコミュニケーション
- 経費精算
- 固定資産管理
これらの業務においては、簿記2級レベルの知識で十分対応できます。
簿記1級を持っていることよりも、実務経験やスキルのバランスが重要になってきます。



簿記検定では習わない実務も多いよ
経理未経験で簿記1級取得者の転職における評価
難関資格を取得していることはもちろんアピールポイントになります。
実務経験がない場合は、前職の業務内容や人柄など資格以外の要素を評価される場合があります。
20代経理未経験の場合
簿記1級は非常に難易度の高い資格のため、若いうちに取得していることは転職において評価をされる場合があります。
就活においても難関資格に合格する努力や粘り強さの証明にもなります。
ただし、業種・企業によって評価は異なるため、コミュニケーション能力など他のスキルとのバランスが大切です。
30代経理未経験の場合
経理未経験の30代で簿記1級を持っていることは一定の評価を受ける可能性がありますが、スキルや経験次第で評価は異なります。
異業種から経理への転職の場合、簿記1級を持っていても実務未経験のため評価されない可能性があることを念頭に置く必要があります。
難関資格を取得していることはアピールポイントになりますが、実務経験が不足している場合は、他のスキルや人柄などが評価基準になることがあります。
30代未経験の経理転職では、前職の仕事内容がどのように経理に活かせるかをアピールすることが重要です。
40代経理未経験の場合
40代の場合、経理部門の管理職のポジションに採用されやすくなります。
簿記1級取得者としての知識やスキルは、採用の際にアピールポイントとなります。
ただし、経理実務に携わるよりも、マネジメント・管理業務の割合が高くなる場合があります。
そのため、簿記1級取得者としての知識やスキルはもちろん重要ですが、マネジメントスキルも同じくらい重要視されます。
応募する際には、簿記1級取得者としての能力だけでなく、マネジメントスキルをアピールすることが必要です。



年齢が高くなるにつれマネジメント経験が重要視されるよ
簿記1級レベルが求められる経理実務とは
簿記1級は実務でほとんど使わないと言われますが、もちろん使う場面もあります。
- 財務戦略の策定
- 財務分析
- 予実管理
- 資金調達など
ただし、経理未経験者が転職してすぐに経営判断に関わる重要な仕事を任される機会は少ないです。
簿記1級の取得は高い評価を受けますが、それに先立ち経理の実務経験を積むことも大切です。
経理に転職してライフワークバランスを整えてから簿記1級の取得に臨むのも選択肢のひとつです。
おわりに
モブ美は30歳で未経験から経理に転職しました。
その時持っていたのは簿記2級のみ。
簿記2級に合格したのが嬉しくて、簿記1級も目指してみようかと思ったこともあります。
でも実務を学ぶのに精いっぱいで途中で挫折しました…。
経理10年目になりますが今でも経理の資格は簿記2級しか持っていません。
それでも10年やってこれましたし、IT企業の経理⇒会計事務所⇒ベンチャー企業の経理へと転職することもできました。
働いている中でたくさんの簿記1級ホルダーに出会いましたが、簿記が大好きでその延長線で取った人も多かったです。
簿記1級は簡単な試験ではありません。限られた時間を何に使うのか、取捨選択が必要です。
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